2018年4月22日に「技術書典4」にサークル参加してきました。コミケには何度か参加していましたが、技術書典は初めてのサークル参加となりましたので、当日の雰囲気も交えながら参加レポートを書きたいと思います。
謝辞
今回も頒布のお手伝いとして友人のけぷとん氏 (@kepton_e) に協力して頂きました。彼のおかげで私が話し込んでいる時でも途切れなく頒布を続けることができ、より多くの方に本を届けることが出来ました。本当にありがとうございます。
再販について
新刊「初めてのsystemd-nspawn」は5月下旬を目安に コミックZIN 様に委託する予定です。既刊「The Book of SobaCha 3」は同書店にて委託させて頂いております。こちらよりお買い求めが可能です。
サークル側として
サークル「53鍵盤」として、新刊「初めてのsystemd-nspawn」と既刊「The Book of SobaCha 3」、そして冬コミに引き続き SobaCha ステッカーと SobaChan アクリルキーホルダーの2つの SobaCha グッズも頒布しました。
新刊の「初めてのsystemd-nspawn」は、Linuxコンテナ仮想化技術のひとつsystemd-nspawnについて取り上げた本です。
systemd-nspawn について簡単に説明すると、Linux のシステム管理デーモン systemd のユーティリティのうちのひとつで、簡単な Linux コンテナを作成することが出来ます。とてもシンプルで小回りが利き、私自身も趣味の Mastodon サーバーで実際に systemd-nspawn を利用して運用するなどお気に入りのコンテナ技術です。
しかしながら、Docker や LXC と比較して世の中の主流ではない技術であることからまとまった情報元に乏しく、あの O'Reilly すら systemd-nspawn コンテナについては本を出していないため、この本が最初の systemd-nspawn 本としてエンジニアの皆様に少しでも発信できれば、という思いで執筆しました。(そして O'Reilly よりも先に本を出すという密かな目標が達成できてよかった)
今回もサークルとして参加するにあたり、もはやお約束のようなものですが、頭を悩ませたのが印刷部数です。
技術書典に来る方はほぼ確実に技術書を求めてくる訳ですから、コミケの技術島よりも多くの方が来られることは予想していました。
しかしながら、取り扱うテーマが「流行のフロントエンド・フレームワーク」でも「モバイルアプリ技術」でもないバックエンド技術で、Docker でもなく、誰が知っているのか、使っているのかさえわからない、Twitter で言語を全世界にして systemd-nspawn で検索してもほとんど話題がない、そんなテーマを取り扱うため、一体この本にどれほどの需要があるのか読みようがない、というのが当時の正直な感想でした。
結局前回の冬コミと同部数の200部を印刷したのですが──なんと3時間で完売という結果を迎えました。
技術書典にいらっしゃるエンジニアの皆様の熱気は想像を遥かに超えたものでした。Docker は知ってるけど気になるから手に取られたという方、systemd-networkd の設定で行き詰まっていて「この本を探していた!」と仰っていた方、シンプルな技術なら組み込みでも使えそう、と新たな視点を提供して下さった方……様々な目的で新刊を手に取られていましたが、共通していたのが新しい知識を知りたいという意志だったように感じます。
エンジニアは生涯勉強し続けなければならないと言われることも多々ある職業ですが、秋葉原のあの一角に集まった人々は「知りたい」「伝えたい」という確固たる目的を持ってやってきて、そして欲求をこの上なく満たしていく、そんな方々が6,000人規模で集結する技術書典は文字通り「お祭り」であると強く感じました。そしてあの場にサークル参加できたこと、皆様に本をお届けできた事の興奮が醒めることはありません。
私自身も systemd-nspawn 本の執筆にあたり、Linux 仮想化技術の基礎を改めて勉強し直しました。こういったベースとなる技術を知ることは、systemd-nspawn コンテナを運用する上で必ずしも学ぶ必要があるという訳ではありません。しかしながら、仮想化技術の基礎を学ぶことで、systemd-nspawn に限らず他のコンテナ実装や、Linux そのものに対する理解を得ることができ、アプリケーションの実装に左右されない長く活きる知識を獲得することが出来ます。このような基盤となる技術を改めて学べるのも、技術書を書く面白さのひとつです。
今後も機会があればサークルとして参加してみたいです。
買う側として
頒布のかたわらで、けぷとん氏に売り子を抜けてもらっていくつか本を入手していただきました。確か 11:30 くらいだったと思いますが、「マンガでわかるDocker」は物理書籍版が既に売り切れていたようです。すごい。
左上の「ゆりぼん」はれっきとした技術書であり、そしてツイッタークライアントイメージキャラクター百合本です。何を言っているかわからないと思いますが、読むとこのようなツイッタークライアントイメージキャラクター百合本を出したくなる素晴らしい内容です。
他の本もゆっくり読み進めていきたいと思います。サークルの新しい傾向としては自作キーボードへの注目度がかなり高かったようですね。始めたいことがどんどん増えていきます。
今後に向けて
技術書典気付き— わかめそば@技術書典4く-02 (@wakamesoba98) 2018年4月22日
・コミケではキーホルダーやシールなどのグッズも買う方が多かったが、技術書典では純粋に技術書を求める方がほとんど
・電子書籍版を求める声が非常に多い
・QRコード決済は会場の照明が逆光になるとカメラの露出が合わず認識できない
・コミケ技術島ピークの人混みが5時間続く
それぞれの対策— わかめそば@技術書典4く-02 (@wakamesoba98) 2018年4月22日
・技術書は多めに刷る、終わってからコミックZINさんにお願いできるのは大変ありがたいです
・サーバー借りてるのでPDFのMD5ハッシュかなにかを名前にサーバーに置いておく
・QRコードは大きめに、垂直ではなく上に傾けて掲示
・イベント前はちゃんと8時間寝る
今後への具体的な対策は「多めに刷る」「電子版」「QRコードの明るさ」「睡眠」の4本となりました。完売後にも多くの方々が訪れており、せっかく足を運んで頂いたのに本をお届け出来ない悔しさといったらありません。技術書典では会場にコミックZINの担当者様がいて、閉会前後に新刊をそのまま委託出来るため、むしろ多く刷っておいた方がメリットが大きいという特長があります。ただし、今後もし技術書典が秋葉原から会場を移した場合に、コミックZINさんは来てくださるのでしょうか…。
最後になりますが、技術書典主催の皆様、スタッフの皆様、そしてこの混雑の中足をお運びくださった皆様、本当にお疲れ様でした。次回の開催を楽しみにしています!
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